太陽の塔

太陽の塔

念願であった『太陽の塔』(岡本太郎作)を観てきた。大阪の万博記念公園にある。

太陽の塔

万博記念公園 中央口のゲートをくぐれば、堂々とした姿で人々を迎える。

太陽の塔

「塔」なので、なんとなく細長いイメージだが、でっぷりとした量感で迫ってくる。高さ71m。立派だ。

1970年大阪万博

テーマは「人類の進歩と調和」で、アジア初の万国博覧会。約6400万人が訪れた。テーマ展示プロデューサーは岡本太郎。

万博記念公園

万博記念公園は、大きく分けると、3つのエリアになるだろうか。太陽の塔がある自然文化園。その奥にある日本庭園。そして、万博記念公園駅を出てすぐにあるEXPOCITY。観覧車も見えているが、EXPOCITYはアミューズメント施設。

その他、運動場、競技場などのスポーツ施設も隣接している。

日本庭園

日本庭園

日本庭園は、日本政府の出展。平安、鎌倉・室町、江戸、現代の4つの時代の庭園様式を再現したそうだ。

太陽の塔 内部公開

太陽の塔の内部公開が、2018年より始まった。インターネットで予約できる。「地底の太陽」「生命の樹」が見学できる。

地底の太陽

地底の太陽

「地底の太陽」は、プロジェクションマッピングで、色彩や模様が刻々と変わる演出。今回の公開に合わせ、「地底の太陽」は復元されたそう。

生命の樹

生命の樹

「生命の樹」は、生命の進化が、樹木のように表されている。古代生物から始まって、恐竜、哺乳類、人類へと上へ上へと進化を遂げる。現在は動物などのオブジェは動かないが、1970年の万博公開時はそれぞれ体を動かしていたという。

階段を登って、見学する。階段から上は撮影禁止。

20世紀の遺産

1970年に開催された大阪万博は、東京オリンピックと並ぶ、高度経済成長期を代表するイベント。奇しくも、2020年の東京オリンピック、2025年の大阪・関西万博も、この歴史を再びなぞるような開催予定となっている。

太陽の塔

1970年大阪万博から、おおよそ50年。今、あらためて眺めても、自然へ立ち向かってゆくような、人間の気概を感じる。

ドキュメンタリー映画『太陽の塔』

「太陽の塔」とは何なのか? EXPO’70 大阪万博のシンボル。だが、もし文明が消え去った荒野に、これがそびえていたとしたら。この物体は一体何なのか? 映像や語りにグッと引き込まれる。

P.S.『太陽の塔』と『明日の神話』

ちょっと気づいたことがあったので、書いておく。

東京の渋谷駅に『明日の神話』という岡本太郎作の大壁画がある。

『明日の神話』は、1960年代末(大阪万博『太陽の塔』制作と同時期)、メキシコの建設中のホテルの依頼で制作された。しかし、ホテルの経営悪化で建設中止。作品は行方不明に。30年後の2003年に発見され、修復。JR渋谷駅と京王井の頭線渋谷駅の連絡通路に設置され、ちょっとしたニュースになった。ピカソの『ゲルニカ』を思わせるような、おどろおどろしい画題だ。原爆の瞬間を描いている。

ところで、『太陽の塔』の後ろ側に「黒い太陽」が描かれている。これは、人の作った太陽「原子力エネルギー」を表しているという。繰り返しになるが、EXPOのテーマ「人類の進歩と調和」のシンボルとして造られたのが『太陽の塔』。

はたして「原子力エネルギー」は「人類の進歩と調和」であったのか?

上のドキュメンタリー映画でも、どうやら岡本太郎はこのテーマに批判的な想いがあったということが語られている。現代の人類は、科学を発展させたが、進歩も調和もしていないというような。

あらためて、両方を比べてみると、「あっ」と気づいた。

「黒い太陽」の光芒線と「明日の神話」中央の骨の形が、符合する。

「核の太陽」と「人間の死」が、照応している。

太陽の顔面と骸骨の頭部も黒と白が反転している。そもそも、天にある太陽は、生きとし生けるものを生かす。人のつくった「黒い太陽」は……。

さらに、『明日の神話』には「生命の希望」ともいうべき、明るい箇所がある。

左端の人の両腕を開いたポーズ。これはあまりにも似ていないだろうか。色を重ねて巧妙にカモフラージュしているようにも感じる。

そして『太陽の塔』には顔が4つある。『明日の神話』も4つ。3つがポジティブ、1つがネガティブというのも同じ。よく見れば、のっぺらぼうもどれがどの顔を指すのかさえわかる。

最後に『明日の神話』の全体を見てみよう。

天を中心にして円弧を描くような線(ムーブマン:動勢)が見られる。『太陽の塔』の赤い稲妻は縦に、『明日の神話』の赤い火炎は横に。

この大壁画は、現在は東京の渋谷にある。しかし、もともとメキシコのホテルのために描かれた。

岡本太郎は、『太陽の塔』という巨大な立体作品を日本に立て、『明日の神話』という大きな平面作品をメキシコに置いた。日本とメキシコ。おおよそ、地球の表裏、両端ともいえる。表裏。日本を「表」というのはずうずうしいのでも、大げさでもない。

『太陽の塔』は表である。『明日の神話』は裏である。

両作品の円弧を重ね合わせると、表裏一体になる。

岡本太郎は、地球をアートでぐるりとくくってしまった。

なお、これが表裏を合わせる鍵である。

注)日本の「地球の裏側」は、ブラジルとも言われる。正確には、日本の「対蹠地(たいせきち、たいしょち)」はブラジル横あたりの南大西洋になる。