“足を洗った池”

洗足池

池の名の由来

洗足池(せんぞくいけ)——

一風変わった名の池である。“足を洗った池” なのである。誰のおみ足か。

日蓮上人(にちれんしょうにん)である。

日蓮が病気療養のため身延から常盤へ向かう途中、この池で足を洗ったことが、その名の由来とされている。山梨県の身延(みのぶ)には、日蓮宗総本山 身延山久遠寺がある。

東急池上線の洗足池駅から10分くらい同線に乗ると、日蓮宗大本山 池上本門寺がある。日蓮上人の入滅の地である。同線大崎広小路駅そばには立正大学もあり、この辺は日蓮宗に所縁が深いようだ。

日蓮が執筆した『立正安国論』では、当時の国難、地震、飢饉、疫病などは、人々が仏教の他宗を迷信している報いであるとした。その後に起こる元寇を予言したとも言われる。鎌倉で辻説法をしたという日蓮は、激情型の気骨溢れる孤高の宗教家、といった印象がある。彼の筆による「南無妙法蓮華経」の書も、とてもユニーク。

浮世絵にもなった池

さて、洗足池である。

この池は、江戸時代には歌川広重『名所江戸百景 千束の池袈裟懸松』にも描かれた。江戸時代に流行した浮世絵の版画だ。この日蓮上人の袈裟懸けの松は——新しく植え替えられたものだろうが——今でも、洗足池のほとりにある。当代流行の浮世絵師の手による『名所江戸百景』にもなったほど、風光明媚な景観だった。

幕末から明治に活躍した勝海舟も気に入り、洗足池のほとりに別邸をかまえた。

この洗足池の近くに、かつて私も10年ほど住んでいたことがある。桜の名所としても知られるこの池は、四季折々で心和む表情を見せてくれるのだ。その中でも、この「灯ろう流し」は美しい。

川ではなく、池なのだ。川の灯ろう流しは、一方向に流れてゆく。池の灯ろう流しは、ゆらゆらと浮かぶ。風があると流れるが、不思議とその身を寄せるように集まる。

しばらく見とれていると、いつの間にか灯は消えており、いつもの静かな池なのである。

⇒ 洗足池の桜の記事はこちら

洗足池の灯ろう流し

灯ろう流し

洗足池は、東京都大田区にある。五反田駅と蒲田駅を結ぶ東急池上線のちょうど中ほどにある。この池上線は3両列車。始発駅から終点まで20分くらいの距離しかない。

灯篭流しは、毎年、7月16日に洗足池で催されている。洗足池のほとりにある妙福寺による、先祖供養のための仏教行事だ。

ひっそりとした行事なので、それほど混雑することはない。屋台なども出ない。来ているのも近くに住む人だろう。

これから暑さを増すという時期にあり、いち早く夏を感じさせてくれる。

P.S.

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